洗濯機では洗えない?!ダウンジャケットを自宅で洗う方法を「お洗濯マイスター」に聞いてきた。

ダウンジャケットをはじめ、冬物のコート類は「寒い季節に着続け、暖かくなったらクリーニング店に出しに行く」というご家庭がきっと多いはずだ。

なぜなら、クリーニング店に持っていけば大抵の汚れは綺麗に落とすことができるし、寒い季節にわざわざコートを預けるということはあまりしないだろう。何より、1回で綺麗になるのであれば、着なくなる最後のタイミングでクリーニングをお願いしたほうがより経済的だ。

しかし、汚れというものはふとした瞬間に気づくことが多く、その後「この汚れをどうにか落としてやりたい」という衝動に駆られてしまうことも多いだろう。

ましてや、仕事に着ていくダウンジャケットや、毎日汚すとはいえ汚れたまま子どもに着せるのもちょっと心苦しい・・・。

そこで、ライオン株式会社に務めている洗濯のスペシャリストに、ダウンジャケットを自宅で洗う方法について聞いてきた。

ライオン株式会社 平井事業所へ

もともとライオンの工場だった場所を研究所に変えた平井事業所は、とても広い。「洗濯」というカテゴリだけでも、様々な種類の洗濯機をいくつも用意し、日々研究を続けているとのこと。

この事業所内にある「快適生活研究所」にお邪魔してきた。

今回お話を伺ったのは、ライオン株式会社にて洗濯用洗剤などの製品開発・調査に約20年携わってきた「お洗濯マイスター」の大貫さん。

2児の母親としての経験と研究活動を融合し、主婦・母親・女性目線で情報を発信している専門家だ。

そもそも「洗い方の手順」というのは、以下の4つの手順からなる。洗濯機に入れて洗えばいいというわけではなく、その洋服に合った「洗い方」が存在するので必ずチェックしておこう。

  1. 洗濯表示を確認(洗い方を見極める)
  2. 洗う準備(前準備で汚れを落としやすくする)
  3. 洗う(適切な洗い方を選ぶ)
  4. 干す(型崩れ・しわ・日焼けの防止など)

意外に知らない「洗濯表示」の意味

洗濯表示を簡単にチェックできるアプリ「これ洗える?(ライオン公式)」より

洗濯のすべては「洗濯表示」に記載されているので、これさえ守っておけば基本的には問題ない。

画像右上に表示されている「桶に水が入っているマーク」は、雰囲気で意味を感じ取れる方も多いだろう。桶の中の数字は水温を表し「30」なら30℃以下の水で洗うことを示していて、桶の下の「横棒」は本数が多いほどやさしく洗う必要がある。

手が入っているマークは「手洗い」という意味だ。「×」がついていれば、水洗いができないことを示しているので家で洗ってはいけない。

ダウンジャケットも「水洗い×」という表記がされているものが多いとのこと。その場合には「クリーニング」の表記を確認し、適宜クリーニング店に持ち込むのがよさそうだ。

洗濯洗剤の豆知識

桶の下に横棒が2本入っているマーク(数字に限らず)、手洗いのマークが記載されていたら「おしゃれ着用洗剤」を使用するのがおすすめ。

そもそも、この2つのマークは「優しく洗ってね」というマーク。おしゃれ着用洗剤は、優しく洗っても汚れが落ちるように、衣類に浸透する力が強いのが特徴だ。さらに、型崩れ・色あせ・毛玉・テカリ防止効果がある。

「優しく洗ってね」という表示があったら、おしゃれ着洗剤を使おう。

ダウンジャケットは洗濯機で洗えない?!

ダウンジャケットと一言に言っても様々な種類があるがすべては洗濯表示に書かれている。何にせよ、まずは洗濯表示をチェックしよう。

上の写真の洗濯表示を左から書き出したものが以下になる。

  • 手洗いが可能
  • 漂白処理はできない
  • タンブル乾燥禁止(濡れた洗濯ものを回転させながら温風を当てて乾燥させる方法)
  • 日陰で、つり干し

また、写真では隠れてしまったが「アイロン仕上げ禁止」「ドライクリーニング禁止」という洗濯表示が記載されている。

別のダウンジャケットの洗濯表示も見てみよう。

  • 水温30℃を限度に、洗濯機で非常に弱い洗濯(弱水流コース・手洗いコースなど)が可能
  • 漂白処理はできない
  • タンブル乾燥禁止(濡れた洗濯ものを回転させながら温風を当てて乾燥させる方法)
  • 日陰で、つり干し
  • アイロン仕上げ禁止
  • ドライクリーニング禁止
  • 非常に弱い操作によるウェットクリーニングが可能

2つのダウンジャケットの違いをまとめると「どちらも水洗いが可能で、後者は洗濯機の使用が可能」「後者は条件付きでウェットクリーニングが可能」ということになる。

「洗濯機で洗えるのであれば、そのほうが圧倒的に楽でしょう。」

これが、一般的な意見だと思います。

しかし。

お洗濯マイスターの大貫さん曰く「ダウンジャケットは、基本的には手洗いしてください!」とのこと。

洗濯表示で「洗濯機オッケー!」と記載されていたとしても、ダウンジャケットは手で洗う必要があるのだ。

理由は簡単で、ダウンジャケットが水に浮いてしまい洗えない可能性があるからだ。

これは洗濯ネットを利用しても同じことで、洗濯機で洗うと、ダウンジャケットが水に浮き、汚れが十分に落ちないことがあるのだ。

確かに、これは盲点。

洗濯表示上は、洗える。

しかし、物理的には綺麗に洗えるとは言えない、という結果になる。

ダウンジャケットの洗い方

  • 洗濯表示をみて、水洗いできるか確認する
  • 洗濯は、おしゃれ着用洗剤を使い必ず手洗い(押し洗い)で行う
  • 最後に、約1分間洗濯機で脱水する
  • 風通しの良いところで陰干し、乾かす過程でダウンがだまにならないように軽く叩き上げる。

ダウンジャケットを洗う際のポイントは、大きく4つ。それぞれの工程について、細かく見ていこう。

1.汚れに洗剤を浸透させる

襟や袖口など汚れている部分におしゃれ着用洗剤の原液を伸ばし、蓋の底でトントンと叩き浸透させる。

広範囲に汚れている場合には、原液を薄めた「洗剤液」を用意し、食器洗い用のスポンジ等の柔らかい方で汚れた部分をトントンしていく。

2.汚れている部分を外側にしてネットへ

汚れた部分が外側にくるように折り畳み、洗濯用ネットに入れる。

例えば、首元(襟)・袖口・裾が汚れている場合には、袖が正面で交差すように折り、全体を背中側に半分に折りたたむと3か所それぞれが外側を向く。「汚れている部分を外側にする」ということを覚えておこう。

上の写真のように、ネットのサイズが合わないとしっかりと汚れを落とすことができない。可能な限り、ダウンジャケットが余裕をもって入るサイズの洗濯ネットを用意しておこう。

3.洗剤液を作り、洗面器にためる

代用として洗濯機を使うことも可能

おしゃれ着用洗剤を水で薄め「洗剤液」を作る。「水〇Lに対して、洗剤〇ml」という形で洗濯洗剤のキャップに記載されていると思うので、参考にしてほしい。

ダウンジャケットが入る大きさの洗面器か洗面台を準備し、洗剤液をためる。

大きなダウンジャケットの場合には、洗濯機を洗面器の代わりして使うことも可能だ。この時、洗濯機は絶対に動かさないよう注意しよう。

4.丁寧に押し洗いをする

わかりやすいようにテーブルの上で実演してもらっているが、これは「用意した洗剤液の中」で行う。

まずは、用意した洗剤液の中にダウンジャケットを入れた洗濯ネットを沈める。

全体に洗剤液が浸透するように、4つの角を10回ずつ押し洗いしたのち、真ん中を10回押し洗いする。

洗濯ネットに入れておけば、押し洗いしても洋服がずれることがないので、スムーズに洗濯することができるだろう。

5.洗剤液をしぼり、すすぎ作業へ

洗濯ネットごと丸めて、洗剤液を押ししぼる。この時、絶対にねじってはいけない。その後、洗面器の洗剤液をすべて捨て、きれいな水に入れ替えすすぎ作業を行っていく。

すすぎ洗いは、綺麗な水で(4)(5)の工程を2回繰り返す。こすって洗剤液を落とすのではなく、あくまできれいな水で押し洗いをするというのが重要だ。

【ワンポイントアドバイス】

柔軟剤を入れるのであれば、すすぎの2回目に適量を入れるだけでOK。柔軟剤には、ふわっとさせる効果だけでなく、静電気を防ぐ効果もあるので静電気による花粉の付着も防ぐことができるのでぜひ試してほしい。

6.洗濯機で、1分間脱水をかける

ダウンジャケットは、水分を優しく取り除くのが重要なポイント。すすぎが終わったら、洗濯ネットに入れたまま洗濯機で1分程度脱水をかけよう。

7.ハンガーにかけて陰干し

脱水が終わったら、しわにならないように全体を整えハンガーにかけて陰干しする。

この時、ダウンジャケットの肩幅にあうハンガーを用意することが望ましいのだが、もし針金ハンガーしかない場合にはタオルをまいて肩幅に合わせるのがおすすめだ。

ダウンジャケットは乾きにくい洋服なので、2日間くらいは風通しの良いところにかけておく必要がある。

ちなみに、洗濯物をカーテンレールにかける方がいれば、それは避けたほうが良い。カーテンは風をほとんど遮断してしまうので、風通しが非常に悪いのだ。

8.ダウンをふっくらさせるコツ

洗濯後のダウンは、濡れてだまになる。

洗濯後のダウンは、濡れてダマになっている状態で下の方にたまってしまう。このままだと、乾きにくいのはもちろん、本来のふわっとした状態に戻らない。

そこで、陰干しを行い少し乾いてきたところで、ダウンジャケット全体を下から上に軽く叩き上げていく。こうすることで、だまになっていたダウンがほぐれ乾きやすくなり、ふわっとした状態に戻っていく。

水分が多いと叩いても変化がほとんどないので、少し乾き始めたときに行うのがポイント。約2日間の乾燥の間に数回行うと、よりふわっとした仕上がりなる。

ダウンジャケットをふわっとした仕上がりにするには、ダウンをほぐしながら、風通しの良い場所でしっかりと乾かすことがポイントだ。

まとめ

5万円もする高級ダウンジャケットは、さすがに自宅で洗濯する気にはならない。高級な洋服は、私ならまさに勝負服。毎日着ないし、気軽にどこにでも着ていくという洋服とは一線を引くことになるだろう。

しかし、毎日の通勤や日々の生活で「気軽に着れるダウンジャケット」を考えてみると、手ごろな値段のものを長く綺麗に着ていくことが何より経済的なのではないかと感じた。

今回、お洗濯マイスターが教えてくれた「ダウンジャケットの洗い方」は、工程としては「おしゃれ着洗いそのもの」ということが良く分かった。

ただ、ダウンが水に沈まず洗濯機では洗えないので、洗濯ネットに入れて手で押し洗いをするだけなのである。

実にシンプルだ。

洗濯表示を見て「水洗いできるダウンジャケット」があれば、ぜひチャレンジしてほしい。

※インタビュー協力:ライオン株式会社 快適生活研究所

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