自分なりの「いい革」に出会ってほしい。若い力が変化を起こした栃木レザーの想いとは。

日本のみならず世界からも注目されている「栃木レザー」。伝統を受け継ぎ、職人たちの手で丁寧に仕上げられていくその革は、様々な形に姿を変え人々を楽しませていることだろう。

私自身も、革製品のファンのひとりである。財布や名刺入れ、革靴など使えば使うほど「革独特の経年変化」が楽しめるのがとても魅力的だ。

栃木レザーの遅澤氏は「経年変化を楽しむことこそ革製品の醍醐味であり、栃木レザーの最大の魅力だ」と話しつつも、まずは「自分が良いと思う革」に出会ってほしいと続けた。

若き職人たちが新しい変化を起こす

今回お話を伺ったのは、もともと有名革靴メーカーの店長を経て栃木レザーの工場長となった遅澤氏。昔ながらの技術を受け継ぎ世に広めるために、若い力が必要だったと話す。

のちに栃木レザー株式会社として生まれ変わることになった「栃木皮革」は、皮革製造の専門工場として1937年創業。なんと、トヨタ自動車と同じタイミングで創業したという老舗だ。

革製品は様々なところで利用され、その需要は言うまでもなく高かったそうだ。しかし、月日が流れ革よりも扱い安くより加工がしやすい素材が流通に広がり、革製品は低迷していった。

そんな状況を打破しようと誕生したのが現在の「栃木レザー株式会社」だ。

機械的な効率化された工場ではなくて、今でも昔ながらの工場で作っていることをポリシーとし、ほとんどの他工場が出していなかった「製造現場」を世に露出していき理解を深めた。そして、現場作業員も若者に切り替えていったのだ。

そして、社名を栃木レザーに変更してから15年。製革業者としてのオリジナリティを世に発信し続けている。

現在では、古くから革に携わってきた職人と、若き職人たちが一緒に栃木レザーを支えている。

「皮革製造の老舗工場」と聞くと年齢が高く見えがちだが、平均年齢は35歳前後と非常に若い。実際に工場内でお会いした職人たちは、30代の方もいれば20代の方もいただろう。

実は、栃木レザーでは特殊な資格を持っていなくても働くことができる。もちろん、配属後にトラクターなどの特殊車両の免許が必要になるケースはあるが、工場の中での作業がそのスタッフを職人へと育てていくのだ。

しかし、工場を見学している中で「加工する技術」だけが職人を生むのではないと実感した。

革をどれだけ知っているのか、革との付き合い方とは何なのか、総合して「革のスペシャリスト」がここにいたと感じている。

もちろん革を扱うその姿は、まさに職人の姿だ。

栃木レザーの最大の魅力とは

栃木レザー最大の特徴は、硬さと柔らかさの相反する2つの要素を取り入れていること。柔らかすぎると脆くなってしまうし、固すぎると加工もしにくいし革特有の経年変化も楽しめなくなってしまう。

まさに、経年変化を楽しめることが最大の魅力である「栃木レザー」ならではの特徴ではないだろうか。

遅澤氏は「もし汚れが付きにくい革が必要であれば、他のタンナー(製革業者)をご紹介しますよ!」と笑って話してくれた。

今のご時世、革の加工技術だけでなく様々な素材(合皮なども含む)が誕生し、革製品1つとってもいろいろな特徴を持つアイテムの製造が可能になったという。

その中で栃木レザーがこだわり続けていることが、革そのものの素材を可能な限り生かす製法と工場のあり方だ。

効率化よりも、栃木レザーとしてのこだわりを表現するための製造工程が工場の中にあった。

原皮を自工場で整えていく

「良い革製品とは何ですか?」と聞いたところ、面白い回答をもらえた。

例えば、高級ブランドでは表面に傷ひとつなくシミもないものを「美しい」と呼ぶし、我々栃木レザーは見た目が汚くても、それがその人のオンリーワンになることが大切です。

そのために、その革の良さを生かすための製造工程も栃木レザーの特徴の1つだと思います。(遅澤氏)

実は通常の製革業者は、ある程度加工しやすい状態になったものを仕入れるという。しかし栃木レザーでは、原皮を購入し、自分たちの手で一から加工をしていくのだ。そこからオリジナリティが生まれるのである。

タンニンなめしの作業場は、国内でも最大級。

革の製造過程に「なめし(鞣し)」という工程があり、ここにも革へのこだわりがうかがえる。

動物の皮は、柔軟性があり丈夫であるがそのまま使用することはできない。腐敗はもちろん、乾燥してしまえば板のように固くなってしまい加工は困難だ。この欠点を取り除く方法が「鞣し」と言う工程になる。

科学的になめす「クロームなめし」は、非常に万能型の革を作ることができ、財布に限らずほとんどの革製品に加工することができるだけでなく、何色にも染めることができる。さらに、作業として非常に効率的だ。

栃木レザーでは、あえてその手法を使わずオーガニックな素材を使った「タンニンなめし」を行っている。このなめし方だと色も加工も限られてしまうが、革本来の楽しみ方ができるのが特徴だ。

「原皮」から丁寧に「革」に加工していくため、問屋に卸せる状態になるまで3か月もかけて工程を進めていくとのこと。

これは、もはや「皮を加工する」ではなく「皮を育てる」という言葉の方がしっくりくるだろう。

もっと革を楽しんでほしい

遅澤氏は、革そのものに興味を持ってもらうことが嬉しいと話す。

まずは、スマホケース、財布、キーケースなど何でもよいので、身近なアイテムを革に置き換えて欲しいとのことだ。冒頭で書いた通り、傷がつきにくい革や色鮮やかに染められた革など、革製品には様々な特徴があるので、どれが自分に合う革製品なのか試してもらい、自分好みの革と出会ってほしいとのこと。

もし、その中で「オーガニックな革の魅力」を欲するのであれば、きっと栃木レザーの革を選んでくれるはずだと話す遅澤氏の表情は、こだわりぬいた「栃木レザー」への自信を強く感じた。

ちなみに、こちらが遅澤氏の革アイテムだ。よく触る部分が少し黒くなっているのが分かるだろう。

使っている本人の軌跡そのものが、そのままデザインとなる経年変化。傷や汚れを楽しみながらともに歩める革製品の魅力が、そのまま形になっていた。

Special Thanks!!

革靴を購入した際には、防水スプレーは使わない。なぜなら、しっかりと手入れをしていれば水分がしみこむ隙間がないので結果的に防水効果が期待できるからだ。

もし、それでもシミがついてしまったら、それは革を楽しむうえで非常に大切な1つの要素かもしれない。

革と向き合う。

汚れを楽しむ。

「革製品は経年変化を楽しめる」とはよく言ったものだが、私たちは本当に革を楽しんでいるのだろうか?

遅澤氏の話を聞いて、改めて革の楽しさや魅力に触れたような気がする。

※インタビュー・撮影協力:栃木レザー 遅澤氏

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